ローカルでニッチな花粉症?!ニセアカシアの花粉症とは!?
春の訪れは、花粉症で感じる…
なんて、こんなに悲しいことはありませんよね。
全国で話題なのは、お馴染みスギ花粉です。
ですが、花粉症の原因植物は、たくさんあります。
中でも、限定された土地や、職業の方に起こりやすい花粉症があります。
それが、長野県に多いといわれている、ニセアカシア花粉症です。
今回は、ニセアカシア花粉症について、お伝えしていきます。
ニセアカシアってどんな植物?
「ニセ」と、つくからにはアカシアではない?
その通りです。
「本物の」アカシアは、日本ではミモザと呼ばれる黄色い花が特徴的な植物で、マメ科のアカシア属に分類されます。
一方、ニセアカシアは、マメ科のハリエンジュ属です。
同じマメ科の植物のため、似ていますが違う植物に分類されます。
北アメリカからきたニセアカシア
原産地は、北アメリカです。
和名にハリエンジュとありますが、もともと日本の植物ではありません。
マメ科ハリエンジュ属に分類される、背丈は5m以上にもなる落葉樹で、枝には鋭いトゲがあります。
和名のハリエンジュという名前がついたのも、そのトゲから名付けられています。
ですが、なぜ日本に、ニセアカシアが植えられることになったのでしょうか?
優秀な緑化植物として利用
ニセアカシアは明治時代、緑化政策、防砂林などのために北アメリカから導入されました。
特に、注目されたのが、生命力が強く荒地や岩地など植物にとっては、過酷な土壌でも育つ点です。
土壌が汚染された土地でも、順応力と生命力の強さで良く育ちます。
このような特質のため、ニセアカシアは荒地になった山や土地の緑化には、最適と判断されました。
ニセアカシアの、有名な緑化成功例としては、栃木県の足尾銅山や秋田県の小坂鉱山です。
過酷な環境でも、育つという特質が、緑化に大きく貢献しました。
そのため、全国各地で消化政策、街路樹、河川などに植えられてきました。
長野県も例外ではなく、明治時代に行われた牛伏川砂防工事に、ニセアカシアが植えられた記録があります。
ハチミツになる花として最適
ハチミツの中でも、ポピュラーなのが、アカシアのハチミツです。
実は、アカシアと記載されているハチミツは、ニセアカシアの蜜が原料です。
花は、白または薄いピンク色の、ブドウの房のように花をつけます。
そして甘く、かなり強い香りがします。
このように、ニセアカシアが目立つ花と強い香りを放つのは、虫媒花(ちゅうばいか)という受粉形態をとっているためです。
ニセアカシアは、植物として有益な部分が非常に多く、昔から重宝されてきました。
ですが近年、人間にとって不都合な事実も、徐々に表れてきました。
そのひとつが、長野県民に多いニセアカシア花粉症です。
ですが、ニセアカシア花粉症ってあまり聞きませんよね。
長野県に多いのも、どうしてなのでしょうか?
風媒花と虫媒花の花粉の違い
風媒花
風媒花とは、風に花粉を飛ばすことで、受粉を行う花です。
花粉症の原因になるほとんどの植物が、風媒花です。
有名なスギ、ヨモギ、ブタクサ、カモガヤなどの植物は、すべて風を媒体として広く花粉を飛ばします。
そのため風媒花の植物に、花粉症の原因があることが多くなります。
風媒花の特徴としては、花も地味だったり、花の香り、蜜などもほとんどないことです。
植物の見た目は地味なものが多いでしょう。
虫媒花
虫媒花とは、虫に花粉を運んでもらい、受粉をする花のことです。
虫を惹きつけるために、花の色が鮮やかなものや、香りが強い花、また蜜が多い花などが多いのが虫媒花の特徴です。
ですから、風媒花の植物よりも、香りや色に特徴があるものが多くなります。
虫媒花の花粉は、虫の体に付着しやすいように粘着性があったり、風媒花の花粉より大きいものが多いです。
広く花粉が飛ぶことはなく、かなり限定されたエリアで、花粉が飛ぶことになります。
全国的に、ニセアカシアの花粉症が広まらないのは、虫媒花ということもあるでしょう。
虫媒花植物の花粉症
ニセアカシアを含む、虫媒花の植物が原因の花粉症は、スギ花粉に比べてとても少ないといえます。
また、ほかの植物の花粉症の時期とも重なるため、特定しにくい花粉症です。
ですから、スギなどが周りにないのに、花粉症のような症状が出る場合は、虫媒花の花粉症の可能性もありあります。
ニセアカシアの花粉症状と時期
ニセアカシアの花の開花時期は、5月~6月です。
この時期には、花粉症の原因となる多数の植物があるため、原因特定は困難かもしれません。
ニセアカシアの花粉症状は、次のようなものです。
- くしゃみ
- 目・鼻のかゆみ、傷み
- 鼻水
- 涙
- 下痢
- 腹痛
- 吐き気
ニセアカシアの花粉症状は、ふつうの花粉症とあまり変わりません。
ですが、人によっては下痢、腹痛、吐き気などを起こす場合があります。
花粉症の疑いがある場合は、病院で花粉症の原因植物を検査するのがおすすめです。
ニセアカシアの花粉症になりやすい人
長野県を含む、全国で以下のような職業や土地の方は、ニセアカシアの花粉症の可能性があります。
養蜂家
国産のハチミツの約半分を、ニセアカシアのハチミツが占めています。
そして、その生産量の首位を、長野県が占めています。
蜜を採取するために、ニセアカシアを植えることもあるため、周りにニセアカシアの木が増えることで花粉を吸いこむ量が増え、花粉症になりやすい環境です。
長野県に、ニセアカシアの花粉症が多いのは、植樹率が高いためかもしれません。
養蜂家ではなくても、近くにニセアカシアが多い場合、花粉症になる可能性はあります。
もともと荒地だった土地や河川
長野県の牛伏川砂防工事の例にもあるように、もともと荒地だった場所の緑化に、ニセアカシアが植えられた経緯があります。
また、生命力が強いため、河川などに野生化していくケースもあります。
昔、緑化政策がとられた場所や河川近くに住んでいる方は、注意しましょう。
まとめ
花粉症の原因植物には様々なものがあります。
長野県に多いニセアカシアの花粉症のように、ローカルな花粉症の可能性は十分にあります。
養蜂家の方のような、限定された職業が引き金になって起こる花粉症もあります。
原因がはっきりしない花粉症の場合は、一度検査してみるのをおすすめします。