【本当のところは?】歯周病はブラッシングで治る?治らない?
あなたもブラッシング後に、歯ぐきから血が出ることがありませんか?
さらに、下のような症状がありませんか?
- 歯がしみる
- 歯ぐきが下がる
- 口臭が気になる
こんな症状があると、それは歯周病かもしれません!
それでは、歯周病は、治るのでしょうか?
いいえ、一度かかると治ることはありません。
でも、歯には死ぬまで活躍してほしいですよね。
今回は、歯周病の治療法や、予防のためのブラッシングケア法などをお伝えしていきます!
歯茎が腫れています!歯周病?歯肉炎?
歯ぐきの本来の色は、ピンク色です。
赤みが強くなっていたら、歯周病か歯肉炎を疑って良いでしょう。
では、歯周病と歯肉炎の違いを見てみましょう。
歯肉炎は治る病気
歯肉炎は、歯ぐきの病気です。
歯ぐきの色は赤〜濃い赤で、歯との境目の歯ぐきが柔らかくなっていたり腫れているときは歯肉炎を疑いましょう。
歯ぐきの一部が歯肉炎ということもあるし、全体的に腫れているということもあります。
歯を磨くと出血を伴います。
症状を放置すると歯周病になる恐れがありますが、歯肉炎は治る病気です。
歯周病は治らない病気
歯周病は歯ぐきの病気ですが、「サイレントキラー」とも呼ばれ、静かに他の病気を引き起こす恐ろしい病気です。
ところが、日本人の約8割が歯周病であると言われています。
歯と歯ぐきの間にくっついた細菌の塊、「プラーク」が歯ぐきを腐らせ、そして歯も骨も弱くなり歯ぐきが衰えて低くなったところで、歯が抜けてしまうのです。
だいたい20代の頃から始まり、50〜60代で歯が揺れ始めるのが一般的な病気の進行です。
口の中で30〜40年も、病気がくすぶっていると思うと気持ちが悪いですね。
一度かかると治ることはなく、歯の骨を溶かしてしまうなど深刻な病気です。
ですから、日々のブラッシングがとても大事になってきます。
学校などで、歯の磨き方を習った方も多いことでしょう。
理由が今わかりましたね。
歯周病が引き起こす他の病気
歯周病がサイレントキラーと呼ばれるのも、口の中で長期的に静かに症状が進んで、他の病気を引き起こすからです。
どのような病気を引き起こすのか知っていますか?
- 糖尿病
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 早産、低体重児
- 骨粗鬆症
- 誤嚥肺炎
- 認知症
- 消化器系疾患
いかがですか?
引き起こされる病気は、治るまでに時間がかかったり、治すことのできないものです。
これは、一刻も早く歯周病予防や治療を開始したくなりますね。
あなたは、自分が歯周病にかかっていると思いますか?
思い当たる人も、思い当たらない人も、次の歯周病チェックをしてみてください。
もしかして歯周病?セルフチェック
セルフチェック表(参照日本臨床歯周病学会:http://www.jacp.net/jacp_web/general/about.html)
□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
□ ブラッシング時に出血する。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉がむずがゆい、痛い。
□ 歯肉が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
□ かたい物が噛みにくい。
□ 歯が長くなったような気がする。
□ 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
〜診断方法〜
- 3つ以上あてはまる:レベル1~レベル2です。ご自分および歯医者さんで予防するように努めましょう。
- 6つ以上あてはまる:レベル2~レベル3まで進行している可能性があります。
- 全てあてはまる:レベル4まで進行している可能性があります。
いかがですか?
3つチェックがついた方は、ぜひかかりつけの歯医者さんへ行って「半年に1回チェック」を始めてください!
6つ以上あてはまる場合、もうブラッシングなどのケアだけでは治ることはありません。
すぐ歯医者に行きましょう。
歯周病の原因
歯周病の原因は、歯と歯茎の境についた、細菌の塊である「プラーク」です。
プラーク1mgに、10億個の細菌が潜んでいます。
このプラークが、歯ぐきを炎症→腐敗へと導きます。
歯の骨や歯そのものも溶かされてしまいますし、歯ぐきは腐ったリンゴのように、だんだん腐って潰れて小さくなってしまいます。
歯がグラグラして抜けてしまうというのは、歯ぐきが歯をもう支えられなくなってしまうからなのです。
一度プラークがついてしまうと、日常的な歯磨きでは取りきれません。
また、そのプラークに次々とプラークがくっついていくので、事態は悪化の一途を辿ります。
1度歯周病になると、完全に治ることはありません。
毎日のブラッシングで、プラークができるのを予防することが一番です。
歯周病の治療方法
治ることはない歯周病、でも症状は治療で治ります。
どんな治療法があるのか、みてみましょう。
フラップ手術(歯肉切除)
深くなった歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)に麻酔をします。
そこをメスで切開し、取り除きます。
ダメージを受けている骨を整えて、歯肉を縫合します。
歯周病で歯肉がただれてしまっている症状を、改善することができます。
エムドゲイン療法
フラップ手術の後、豚の歯胚から抽出した薬を歯茎に注入し、歯周組織の再生をします。
マウスピース「3D」
歯型をとり、患者さん専用のマウスピースを作ります。
マウスピースに歯周病の治療薬を入れ、歯にはめ込みます。
抜歯
歯がグラグラしてしまい、骨まで影響が出ている場合抜歯をします。
完全に治るわけではないのに、抜歯するなんていやだと考えるかもしれませんが、傷んだ歯ぐきと歯を口腔内に放置する方が危険です。
どれも怖そうですよね…
なるべくなら、歯周病は予防してかからないようにしたいものです。
一度かかると治ることはない、と聞くとなおさらですね。
歯周病を予防する生活習慣7つ
では、歯周病を予防するために生活を見直してみましょう。
あなたは、歯周病行きの習慣はありますか?
- 甘いものをたくさん食べない
- 食事の時間は規則的に
- 頻繁な間食はやめ食事と食事の間をあける(歯が綺麗な状態を保つ)
- 食べた後は歯磨きをする
- タバコは吸わない
- 睡眠中歯を食いしばる人はマウスピースを検討する
- 歯磨き後の飲み物はお茶や水にする
個人のペースで仕事を進める人などは、間食が多くなりすぎることもあるかもしれませんね。
一度生活習慣を見直してみましょう。
歯肉炎の不快な症状は、この生活習慣の改善と正しいブラッシング方法で治るので、歯のためにはこの7つの習慣をぜひ続けたいですね。
毎日のケアの王道はコレ!「ブラッシング」
歯周病は治ることはありませんが、予防するために一番大事なのはブラッシングです。
歯磨きをしたつもりでも、正しくできていなければ予防になりません。
ブラッシング方法に気を配っていきましょう。
歯ブラシの選び方
柔らかめの歯ブラシを選びましょう。
出血しやすい人のマッサージにもなります。
ヘッドは小さめの方が、細かいところに届きます。
衛生面と機能面から考えて、ブラシ部分が広がる前に、使用して1ヶ月ほどで新しいものに交換しましょう。
歯磨き粉は?
歯磨き粉はいろいろなタイプがありますが、最近のものだとフッ素が配合されているものが多いので、どれでも良いです。
多くつけすぎないのがポイントです。
泡が多すぎると、口を開けているのが困難で、ブラッシングが継続できない傾向にあります。
歯ブラシの持ち方
案外と忘れられている大事なポイントは、歯ブラシの持ち方です。
ブラッシングは、極力弱い力で何回も行うのが理想的です。
そのために、力が入りづらくかつ細かな動きに対応できる「ペングリップ」(鉛筆の持ち方)をお勧めしています。
筆圧は強いんです!という方は、「パームグリップ」(手のひらに歯ブラシを置き5本の指で歯ブラシを支える)で試してみてください。
歯ぐきを傷つけないためにも、極力弱い力で、細かく何回もブラッシングすることがポイントです。
歯肉炎でもないのに出血する人は、ブラシの圧が強いのかもしれません。
弱い力で磨くと出血は治ると思います。
磨き方
歯と歯ぐきの境目が、最もプラークがつきやすい場所です。
そこを丁寧に弱い力で、左右に1ミリ程度動かし、最低20回細かく動かすブラッシングをしてください。
ポイントは、
- 歯を1本ずつ磨く
- 歯ブラシは歯に垂直に当てる
ことです。
そんな磨き方は、鏡を見ながらしかできません。
寝る前の歯磨きは、鏡を見ながら弱い力で歯1本に20回ブラッシングをしましょう。
フロスと歯間ブラシ
歯と歯の間を清潔にすることは、ブラッシング以上に大事なことです。
歯と歯の間にも細菌が増殖・定着してしまうのです。
歯周病はないけれど口臭が気になる人も、歯間ケアで改善される場合もあるほどです。
歯と歯の間が空いている人は、ぜひ歯間ブラシを使ってください。
サイズが色々あるので、自分の歯と歯ぐきに力を入れなくても入れられる大きさのものを選び使いましょう。
フロスは歯間が狭い人でも使えて便利です。
やり方がわからない人は、「歯間ブラシ」が手軽で使いやすいでしょう。
どちらも、「歯の側面をまんべんなくなでてゴミを掻き出す」イメージで使ってください。
歯間を清潔にすると、気になっている口臭も治ることが多いようです。
寝る前に必ずできるといいですね。
マウスウォッシュ
ブラッシングで歯と歯ぐきの境目と、歯と歯の間を綺麗にしたら、最後の仕上げに歯周病予防のマウスウォッシュを使ってみましょう。
マウスウォッシュは歯磨き粉の代わりに使うものですが、歯垢・プラークを落とした後に、マウスウォッシュを口に含み、再度ざっくりブラッシングをしてみましょう。
翌朝の口の清潔感に驚きますよ!
それでも歯周病になってしまったら
もし、歯周病になってしまったら、できるだけ早く治療を開始してください。
治ることはありませんが、治るのと同じような症状の改善ができます。
かかりつけの歯医者さんが一番安心ですが、かかりつけがなかったり、歯周病が進行していたりしたら、歯周病に強い歯医者さんを選んで受診してみましょう。
選び方としては、「日本歯周病学会」や「日本臨床歯周病学会」の専門医/認定医である歯科医師がいる歯医者を探すと安心です。
常に歯周病治療に携わっている人でないと、この資格を持つのが難しいためです。
- 日本歯周病学会:http://www.perio.jp/
- 日本臨床歯周病学会:http://www.jacp.net/jacp_web/index.html
などのサイトを参考にしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
歯周病は、思った以上に怖い病気ですが、ブラッシングなどをして予防することで、かからなくすることができます。
毎食後のブラッシングは、面倒に思う人もいるかもしれませんが、そのひと手間で、一生使える健康な歯と歯ぐきを守りましょう!